応用生態工学
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総説
河川中上流域の河床環境に関する研究動向と課題
原田 守啓萱場 祐一
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2015 年 18 巻 1 号 p. 3-18

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抄録
本論は,河床を構成する材料の粒径の幅が広く,河川地形や河床環境に平面的な多様性が見られる河川中上流域を対象とし,主に河床環境の物理特性に関わる既往の知見の整理を試みた.まず第 1 に,河床を構成する土砂の物理特性と指標について,工学と生態学の両分野における一般的な取扱いとその課題を確認し,粒度分布に粒径集団の概念を適用することの有効性を指摘した.第 2 に,土砂水理学における知見の整理を試みた.河床の流水抵抗,流れの特徴について解説するとともに,河川地形の骨格となる河床形態,河床環境の時空間分布の多様性の基となる分級現象に着目する重要性を指摘した.第 3 に,河床環境の評価に関する研究動向についてレビューし,河床環境の評価指標は,生息場としての質や機能と,物理特性との対応が明らかであることが望ましいことを指摘した.これらを通じて,河床環境に関する調査研究における課題を明らかにするとともに,今後期待される取組みの方向性を示した.
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© 2015 応用生態工学会
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