応用生態工学
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林床のオルソモザイク画像と DSM の簡便な取得方法:マングローブ林を例にした検討
丹羽 英之竹村 紫苑今井 洋太鎌田 磨人
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キーワード: UAV, CHM, forest floor, seedling, knee-root
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2019 年 21 巻 2 号 p. 191-202

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抄録

林冠に比べて林床の空間情報は少ない.そこで,林床のオルソモザイク画像と DSM(Digital Surface Model)を取得する簡便な方法を提案し,オルソモザイク画像の判読により得られる植生情報(高木の密度,稚樹の密度,膝根の密度)を例示することを目的とした.沖縄県金武町を流れる億首川のマングローブ林を対象とした.林冠は UAV(Unmanned Aerial Vehicles)で静止画,林床はカメラスタビライザーに取り付けたカメラで動画を撮影し,SfM(Structure from Motion)で処理し林冠と林床のオルソモザイク画像と DSM を取得した.林床のオルソモザイク画像からオヒルギの高木と稚樹,膝根の位置を判読することができた.林床 DSM はドーム状歪みの影響がみられるなど絶対的な高さ精度に課題は残るが概ね地形を反映していた.CHM(Canopy Height Model)は実測樹高との差が 2 m 以上ある地点がみられ,林床 DSM のドーム状歪みが CHM の誤差の一因になっている可能性が示唆された.本研究で提案した林床のオルソモザイク画像と DSM を取得する方法は,簡便な方法で新たな調査方法の 1 つとなる.マングローブ林において,これまでになかった林床情報を取得し,マングローブ林のマネジメントに有益な情報を提供できると期待される.ただし,精度検証が不足しているため,実用にむけてはさらに事例検証を重ねる必要がある.

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© 2019 応用生態工学会
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