応用生態工学
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UAV に搭載した熱赤外センサーにより計測した河川水の表面温度と水草分布との関係
丹羽 英之今井 浩介鈴木 俊輔清水 龍小串 重治
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2020 年 22 巻 2 号 p. 155-163

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抄録

湧水の見られる河川区間として淀川水系桂川(京都府亀岡市)と岸田川水系久斗川(兵庫県美方郡新温泉町)を調査対象とした.UAV を用い可視光と熱赤外のオルソモザイク画像を得た.現地調査とオルソモザイク画像の目視判読により水草の分布を把握した.高い空間解像度の熱赤外オルソモザイク画像により,河川水の表面温度を把握することができた.河川水の表面温度は空間的不均質性を有していた.河川水の表面温度と水草分布の関係を分析した結果,外来種は在来種より分布パッチの表面温度が有意に高いこと,ナガエミクリやバイカモといった絶滅危惧種の分布パッチの表面温度は他の種より有意に低いことがわかった.水草に限らず河川生態系の解析に熱赤外オルソモザイク画像を応用することで,生物と水温の新しい関係が明らかになることが期待される.本研究により UAV で取得した熱赤外オルソモザイク画像の河川生態系解析への応用可能性を示すことができた.

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© 2020 応用生態工学会
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