2026 年 28 巻 2 号 p. 173-183
山形県最上川水系に位置する白川ダム,長井ダム,寒河江ダムの流入河川,下流河川各 2 地点,及び最上川本川 5 地点,計 17 地点で,底生動物調査を行った.当該地域では 2012 年から 2023 年までの 12 年間に 2 ~ 3 回,河川水辺の国勢調査に基づき,同一地点・同一手法で,調査を継続している.当該地域では 2020 年や 2022 年に既往最大流入量,水位を記録した.そのため,本レポートでは,2020 年や 2022 年の出水の影響に着目し,2023 年の定量採取のデータを基に底生動物の応答を把握することとした.出水による底生動物への影響は,EPT 種数,総個体数,湿重量,匍匐型個体数,造網型個体数,類似度指数に着目した.その結果,既往最大を記録した後の 2023 年で減少傾向は認められなかった.2012~2018 年,2018~2023 年の変化率をみても,統計的な有意差はなかった.出水からの時間経過と規模をみると,調査前の 1 か月,2 ~ 3 か月の間に出水規模(ここでは,最大流量 / 年中央値)との関係で,統計的な有意差はないものの弱い負の相関傾向がみられた.それより時間が経つと攪乱規模との相関はほぼなかった.2023 年の調査は既往最大出水より 1 ~ 3 年を経ており,今回調査対象とした最上川水系 3 ダムと本川 5 地点では出水の影響と考えられる現象は認められなかった.