抄録
目的:法的に漢方医学が認められていないにもかかわらず,漢方薬が医薬品として流通している日本において,現場で働く医療職,特に薬剤師に対して漢方に関する教育は急務であると言える.西洋医学と漢方医学はベースとなる理論体系が根本的に異なる分,区別し混同がないようにすべきであり,漢方は伝統的な方法論を守って実施されるべきである.西洋医学に関する項目も大変多い状況の中,漢方教育を合理化することも併せて必要と考えられる.
方法:医系薬系大学における漢方に関する教育の試みや薬剤師の意識調査等,これらに関する論文を参考に,現場で求められる漢方に関するスキルを炙り出し,筆者の講義経験から,短時間で教えやすいモデルとして新しい方剤分類を作成する.さらにこのモデルが漢方方剤の歴史を紐解くことで,伝統医学の範疇を逸脱しないことを証明する.
結果と考察:本稿では,学ぶ者がより簡便でかつ合理的に漢方理論を身に着けられるように方剤分類法として,補と瀉の分類と,3D モデル(寒熱の軸,潤燥の軸,行鎮の軸)を組み合わせた分類法を新たに提示した.併せて,この分類法が伝統医学の範疇から逸脱しないことを証明した.現場薬剤師に向けた研修はもとより,医系薬系の大学教育にも大いに役立つと思われる.