学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
原著
抗てんかん薬および栄養法が重症心身障害児(者)の血中カルニチン濃度に及ぼす影響
佐藤 直行荒川 基記日髙 慎二舩津 久美
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2021 年 3 巻 2 号 p. 59-67

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抄録

【目的】抗てんかん薬および栄養法が,重症心身障害児(者)の血中カルニチン濃度に及ぼす影響について検討した.【対象と方法】外来および施設入所中の重症心身障害児(者)129名の血中カルニチン濃度を測定し,摂取する栄養の内容,バルプロ酸ナトリウム(以下,VPAと略)およびフェノバルビタール(以下,PBと略)投与との関係を投与されていれば(+)されていなければ(-)とし,8群に分け検討した.【結果】経口摂取における遊離カルニチン濃度は,VPA(-)PB(-)群48.0μmol/Lであったのに対し,VPA(+)PB(+)群29.5μmol/Lと有意に低下した.経管栄養では遊離カルニチン濃度は,VPA(-)PB(-)群でも30.5μmol/Lと有意に低下し,VPAやPB投与でさらに顕著となった.【結語】重症心身障害児(者)では,VPA,PBの投与により血中カルニチン濃度は低下し,カルニチン非添加経腸栄養剤の使用により,相乗的に血中濃度は低下し,カルニチン欠乏症のリスクが高い.

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© 2021 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
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