2020 年 64 巻 1 号 p. 41-44
Cyclin-dependent kinase-like 5(CDKL5)は脳に豊富に発現するSer/Thrプロテインキナーゼであり,その遺伝子はX染色体上に存在する.CDKL5遺伝子の片方のアリルにおける変異は,精神発達の遅延やてんかんを症状とするCDKL5欠乏症(CDKL5 deficiency disorder; CDD)を引き起こす.CDDを引き起こすミスセンス変異はCDKL5の触媒領域をコードする領域に存在する場合が多い.そのため,CDKL5変異に伴う触媒活性の変化が疾患発症の直接的な原因になると考えられる.しかしながら,これまでの研究においてCDKL5変異体の活性が解析された例は少ない.簡便なCDKL5の活性検出法が開発されれば,CDKL5変異が真に疾患惹起性であるかを評価するために非常に有用である.本稿では,筆者らのグループが開発したPhos-tag SDS-PAGEを利用した簡便なCDKL5の活性検出法を紹介する.また,実際のCDDの患者さんに見られるCDKL5変異体の活性を測定したことについて概説する.