電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
Online ISSN : 1882-0875
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US研究会提案
無線振動子バイオセンサの原理と応用
荻 博次
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キーワード: QCM, 無線, 薄形化, バイオセンサ, MEMS
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2018 年 11 巻 3 号 p. 180-185

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抄録

ATカット水晶振動子のせん断共振振動は,25℃付近において高い温度安定性(~1 ppm/℃)を示す.振動子表面に物質が吸着すると,慣性抵抗が増し,共振周波数が減少する.この特徴を利用した質量検出型の振動子センサがQuartz-Crystal Microbalance(QCM)である.せん断振動モードのため液体中においても発振することができ,バイオセンサとしても広く利用されるようになってきた.質量検出型であるため,振動子を薄形化して軽量化することにより相対的に吸着物質の質量が増加し,感度は向上する.しかし,圧電体である水晶を発振させるための貴金属電極及び機械的に接続されたワイヤの慣性抵抗は甚大であり,高感度化を妨げてきた.筆者らのグループは,諸悪の根源とも言える電極と配線を使用することなく,裸の水晶振動子をアンテナによって非接触で共振させる手法を考案し,具現化した.これにより飛躍的な感度向上を実現した.更に,MEMSプロセスにより更なる薄形化を実施し,バイオセンサだけではなく,ガスセンサ等の用途への拡張が可能である.本稿においては無線無電極水晶振動子センサの原理と用途例,及び,MEMSプロセス例について紹介する.

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© 2018 一般社団法人 電子情報通信学会
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