2017 年 53 巻 11 号 p. 1115
ストレス環境下で生成したミスフォールドタンパク質は,多くの場合凝集体となり細胞内に蓄積する.タンパク質凝集体は細胞の恒常性維持の妨げになるため,オートファジーやプロテアソームによる分解によって処理されることが知られている.これまで酵母細胞では,熱ストレスで生成したタンパク質凝集体がミトコンドリアの表面に集積することが知られていたが,その細胞生理学的な意義は不明であった. 今回紹介する論文は,このタンパク質凝集体がミトコンドリアに取り込まれて分解されることを明らかにした.このタンパク質の品質管理システムを,Ruanらはmitochondria as guardian in cytosol(MAGIC)と名付けている.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Zhou C. et al., Cell., 159, 530-542(2014).
2) Ruan L. et al., Nature, 543, 443-446(2017).
3) Neupert W. et al., Annu. Rev. Biochem., 76, 723-749(2007).
4) Lin M. T. et al., Nature, 443, 787-795(2006).