森林総合研究所研究報告
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国産材由来セルロースナノファイバーに求められるもの –市場調査報告–
下川 知子 真柄 謙吾野尻 昌信久保 智史戸川 英二木口 実林 徳子
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2017 年 16 巻 1 号 p. 13-27

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抄録
森林資源の有効活用を図り、中山間地域の活性化を推進する方向性の一つとして、新素材であるセルロースナノファイバー(CNF)の活用が挙げられる。国産材を利用したCNFの用途開発を展開していくため、CNF全般及び国産材由来のCNFの問題点や課題などを把握し、実用化のための資料とする市場動向調査を実施した。 CNF全般に対して、コストダウン、分散化技術の確立、特性評価、品質の安定化、安全性といった項目が挙げられ、課題を解決するために事業推進体制を整備し、CNFの生産・制御技術等の確立による生産性の向上、製品化を通じたCNFの生産規模拡大による低価格での安定供給が求められていることが示された。「中山間地域で生産される国産材由来のCNF」を使用するユーザーメリットについては、環境配慮、天然由来の姿勢が企業イメージの向上に寄与する点に賛同意見があったことから、持続可能な森林資源を使用し、環境に優しい資源であるといった具体的な情報や付加価値を、製造者と消費者の両方へしっかりと伝えていくことが、将来的な国産材由来CNFの取り組みに必要であることが示唆された。
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© 2017 森林総合研究所
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