抄録
我が国でも有数の積雪地である東北地方山形県の釜淵森林理水試験地1号沢における 2000 ~ 2014年の降水と渓流水の主要な溶存成分濃度の年平均値と降水による年流入負荷量を算出し、それらの経年変化について報告する。試験流域の面積は3.06 ha、植生は針広混交林である。降水中のNO3− やSO42− の濃度に明瞭な変動傾向はみられなかった。降水による溶存態無機窒素の年平均流入負荷量は 12.4 kg ha−1 yr−1で、そのうちの概ね 6割が NO3−-N であった。SO42− の年平均流入負荷量は 63.0 kg ha−1 yr−1 で、そのうちの約2/3 が非海塩由来であった。NO3− やSO42− の年流入負荷量と年降水量との間に正の相関が認められた。NO3− やSO42− の降水による年流入負荷量は、濃度より降水量に依存することが示唆された。渓流水のNO3−の年平均濃度に変動はあったが、明瞭な経年変化は認められなかった。 渓流水のSO42− の年平均濃度に変化はみられなかった。