抄録
国内および中国の菌床シイタケ栽培施設で発見されたシワバネキノコバエを報告する。本種の成虫と幼虫は栽培施設で9月から11月までの間見られたが、子実体の食害は確認されなかった。2017年6月から2019年3月までの間、茨城県と群馬県内5箇所の栽培施設に設置された延べ1320枚の粘着トラップのうち、7枚に7個体の成虫が捕獲された。また、栽培施設の菌床上で採集した幼虫を室温 (平均気温摂氏20.4度) で飼育した結果、13日後に成虫が羽化した。さらに、屋外環境および栽培施設で採集された成虫標本に基づき、本種が対馬と沖縄本島、中国にも分布することがわかった。以上のことから、本種は国内と中国の栽培施設で夏季・秋季に複数世代発生する、潜在的な害虫であると考えた。