抄録
低コスト更新補助作業である地がき (かき起こし) によるカンバ林造成が北海道のトドマツ人工林主伐後の造林選択肢として期待されている。一方で、地がきによる表層土壌の除去は地がき跡地に更新した樹木の成長を抑制する可能性がある。地がきによる土壌攪乱がカンバ類の成長に及ぼす長期的影響を明らかにするため、1970~1990年代に筋状地がきを行った北海道内のダケカンバ更新林17林分を対象に表層5 cm土壌の理化学性を調査し、ダケカンバの成長と土壌理化学性の関係を解析した。20~44年生の地がきダケカンバ林の成長は既報の地がきによらないダケカンバ林より良好であった。調査地である筋状地がき地では地がき帯のみならず残し帯にもカンバ類が更新しており、その樹高成長 (地位指数) は地がき帯に更新した林分と有意差がなかった。一般化線形モデルにより地がきダケカンバ林の地位指数は低CN比条件下と斜面中下部で良いことが示された。CN比を除く土壌理化学性に対して地がきによる改変が認められたが、地がきがダケカンバの成長に及ぼす影響は不明瞭であった。地がきによる土壌攪乱は更新カンバ林の長期的な成長に影響を及ぼさないものと考えられた。