抄録
本研究では、多様性 (ダイバーシティ) 度合の高い二集団でアクティブ・ラーニング式の演習を行った場合に、その効果や参加者の意識変容に生じる変化、変化の過程について明らかにすることを目的とした。得意分野や特性の大きく異なる東京大学 (総合大学) および女子美術大学 (芸術系大学) の学生 (計20名) を対象として、山梨県山中湖村にある東京大学富士癒しの森研究所にて宿泊型の合同演習を開催した。基本的情報を把握するため、①演習前にプロフィール調査を行い、意識変容について調べるため、②演習前後で環境観、自己効力感、安定感の調査を実施し比較した。③演習後の参加者の感想を選択法およびナラティブデータとして記録し、特に後者については変容過程の把握のために別途整理した。
分析の結果、ほとんどの参加者は合同演習を好意的に捉えていた。意識変容の面では、環境観については全体および女子術大学で有意に低下していたが、合同演習を通じて実際の自然環境に触れたことで観念的な環境の捉え方に変化があったことなどが考えられた。自己効力感、安定感には有意差はなかったが、大学毎に変化の方向が異なっているなどそれぞれに意識変容の傾向が確認された。一方、変容過程については、他大学の学生に対する当初のイメージが共同作業等によって変容していくとともに、考え方や特技の相対化を通じて自己や同じ大学の学生の特性や価値が再発見されていた。