2020 年 19 巻 2 号 p. 121-135
屋外で長期に使用する木製品・外構部材に対しては、美観を維持した状態での長期耐久性が求められる。そこで木材保存剤AAC、ACQ、CUAZ、AZNA、AZNを用いて保存処理したスギ心材に造膜形もしくは含浸形の木材保護塗料を塗装した試験体を作製し、紫外線蛍光ランプ法 (EN 927-6).による促進耐候性試験を行い、色差 (材色変化)、光沢度、撥水度の3項目を指標として耐候性を評価した。さらに促進耐候性試験後に残存する薬剤量を試験体表層と内層とで比較した。その結果、保存処理して塗装した方が、無処理に塗装した場合と比較して材色変化や撥水度低下が抑えられるなど、塗膜が長寿命化する傾向が認められた。また塗装により薬剤溶脱が抑えられることが明らかとなり、塗装による保存処理効果の向上も示された。以上のことから、保存処理と塗装との相乗効果が示された。