森林総合研究所研究報告
Online ISSN : 2189-9363
Print ISSN : 0916-4405
ISSN-L : 0916-4405
液体窒素凍結保存がマツタケの菌糸伸長および菌根形成能に与える影響
小長谷 啓介 山中 高史
著者情報
研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2020 年 19 巻 4 号 p. 349-356

詳細
抄録
液体窒素を用いた凍結保存は、担子菌類の菌株を長期間保存するのに優れた手法とされている。しかし、当手法によって菌株の形質が安定的に保存されるのか評価した研究は非常に少ない。本研究では、液体窒素凍結保存がマツタケ菌株の菌糸伸長と菌根形成能に及ぼす影響を調査した。マツタケ4 菌株の菌糸体を、バーミキュライトと栄養培地入りのクライオバイアル(以下、バイアル)中で前培養した。次に、凍結保護剤(最終濃度、ジメチルスルホキシド5%、トレハロース10%)を加え、凍結容器またはプログラムフリーザーを用いて、-1°C/ 分の冷却速度で-80°C まで冷凍し、液体窒素で気相保存した。1菌株(Y1株;IFO33136株と同一)は最長3年間、その他の3菌株は最長2年間保存した。保存後に再生した菌糸体を菌糸伸長試験およびアカマツを用いた菌根合成試験に供試した。その結果、全ての菌株は良好な菌糸再生率を示した。また全ての菌株は凍結保存後もアカマツ実生苗に菌根を形成した。以上から、本研究で用いた液体窒素凍結保存手法は、菌糸伸長および菌根形成能を大きく損なうことなくマツタケ菌株を安定的に長期間保存するのに有効と考えられた。
著者関連情報
© 2020 森林総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top