抄録
スギ優良品種の種子生産を目的とした採種園では母樹への負担が大きいため、樹体の成長と生殖を共に補う施肥が重要となり、事業区毎、実情に即した基準が必要である。採種園の施肥管理基準を検討するため、東北育種場スギミニチュア採種園で土壌調査し、その理化学特性を把握した。土壌は火山灰を母材とする褐色森林土であった。既存の樹園地の土壌適正値等と比べた結果、当該土壌は腐植に富む一方で、窒素やリン酸、塩基飽和度が総じて乏しかった。反面、国内スギ造林地土壌と比べると、同レベルで、典型的な褐色森林土の特徴を示した。今後は本結果を参考に、着果状況、収率、管理コスト等を勘案し、必要かつ適切な採種園の施肥管理法の検討に活用していく。