森林総合研究所研究報告
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森林生態系内で採取した試料中の137Cs放射能の効率的な測定方法の検討:ゲルマニウム半導体検出器で使用する測定容器の選択とその測定誤差について
大橋 伸太 赤間 亮夫池田 重人星野 大介
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2021 年 20 巻 2 号 p. 135-145

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抄録
森林生態系内で採取した試料の放射性セシウム(137Cs)の放射能測定の効率化に資することを目的とし、粉砕した試料を同軸型Ge検出器とU-8容器の組み合わせで測定する通常の方法と比較して、試料を粉砕せずにマリネリ容器に疎な状態で充填して測定した場合、ならびに少量の試料をウェル型Ge検出器と#737容器の組み合わせで測定した場合に、どの程度の誤差が生じるのかを調べた。また、ウェル型Ge検出器での測定については、試料によるγ線の自己吸収の補正方法が確立されていないため、簡易に行える適当な自己吸収補正方法ついても検討した。上記のマリネリ容器および#737容器のどちらにおいても、U-8容器での測定と比較して、系統誤差は見られなかった。偶然誤差の増加は、前者で7%未満、後者で6%未満だと考えられた。ウェル型Ge検出器と#737容器の組み合わせの測定では、自己吸収補正を同軸型Ge検出器とU-8容器の組み合わせの測定と同様に行うと得られる値がやや小さくなる傾向があり、自己吸収補正の設定で密度を標準線源の値にするか、自己吸収補正を行わない方が妥当な値が得られた。試料の量よりも容量が小さい測定容器を用いて試料の一部を測定すると、粉砕した試料であっても誤差が大きくなる傾向が見られたため、試料の量に応じて測定容器を選択することが、測定の効率化と誤差の低減の双方にとって重要であることがわかった。
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