抄録
河川への落葉供給源の範囲を明らかにするという観点から、2次元で面的に落葉散布を推定できる新たなモデルを開発した。このモデルは河畔林の風向・風速や葉の落下速度、樹冠中央部の高さなど物理的パラメータに基づいて落葉散布をシミュレートするものである。2箇所の平坦な河畔林で調査したヤナギ落葉散布データを利用してモデルの検証をおこなったところ、樹冠近傍を除いて、新モデルは観測された落葉散布を比較的よく再現することができ、既存の1次元モデルよりも有効な評価ツールと考えられた。次に、単純な構造の河畔林を想定し、本モデルを用いて河畔林帯の落葉散布を試算したところ、林帯幅が広くなっても河道への落葉供給はあまり増加しないことが明らかとなった。これは、河岸に近い樹木ほど河道への落葉供給に大きく寄与するためであった。ただし、河畔林が河道の風上側にある場合は、風下側にある場合よりも落葉供給は増加すると評価され、風上側の河畔林が落葉供給源としてより重要であることが明らかとなった。また、河道形状によっても河道への落葉供給は変わると考えられ、河道が大きく蛇行している場合には谷長あたりの落葉供給は直線河道よりも増加すると評価されたが、河畔林の立木密度が低いとかえって落葉供給が減る場合もあると考えられた。