森林総合研究所研究報告
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長さの異なるフィンガージョイントでたて継ぎしたスギ、ヒノキ、エゾマツ材の曲げ強度特性
平松 靖 土屋 敦藤本 清彦宇京 斉一郎宮武 敦新藤 健太林 知行
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2022 年 21 巻 1 号 p. 1-25

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抄録
スギ、ヒノキ、エゾマツの3樹種について、異なるフィンガーカッターを用いてフィンガー長さ17mm、6.3mm、3.7mmのフィンガージョイント (FJ) 試験体を作製し、曲げ試験を行った。ヒノキについては、さらにフィンガー長さ6.5mm、6.7mmのFJ試験体を作製し、曲げ試験を行った。これらの試験結果から以下のことが明らかになった。(1) スギではフィンガー長さ17mm、6.3mmのFJ試験体の曲げ強度に差は見られなかった。 (2) ヒノキでは曲げヤング係数14 kN/mm2 未満で区分されたひき板で作製したFJ試験体では、フィンガー長さ17mmと6.3mmのFJ試験体で曲げ強度に差は見られなかった。曲げヤング係数14 kN/mm2 以上で区分されたひき板で作製したFJ試験体では、フィンガー長さ17mmに比べて6.3mmのFJ試験体の曲げ強度はわずかに低かったが、6.5mm のFJ 試験体では17mmと同等の曲げ強度が得られた。6.5mmでは接着面積が増えたことで曲げ強度が向上したと考えられる。また、加工時の1刃あたりの送り量を0.50mmとすることで、フィンガー長さ6.5mm、6.7mm曲げ強度は大きく向上した。(3) スギ、ヒノキともフィンガー長さ3.7mmのFJ試験体は曲げ強度が低かった。 (4) エゾマツでは、フィンガー長さの影響は見られず、17mm、6.3mm、3.7mmのFJ試験体の曲げ強度は同等であった。
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