森林総合研究所研究報告
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タイ東北部の砂質土壌に植栽したチーク苗の初期成長における炭の効果
香山 雅純 ニムピラ スチャーホントン サジャポン米田 令仁ヒマパン ワラパン野田 巌
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2022 年 21 巻 1 号 p. 73-81

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抄録
タイ東北部には砂質土壌が広範囲に分布し、砂質土壌に植栽されたチーク (Tectona grandis L. f.) 苗は、養分欠乏と乾燥ストレスによって成長が抑制される。ポットを用いた野外環境下での予備試験では、炭の添加によってチーク苗の根の成長は増加した。炭の効果を野外の圃場において検証するために、1 kgの炭 (2.5 Mg ha-1) を添加して育成するチーク苗の植栽試験を実施した。チーク苗は2014年7月に植栽し、2015年11月まで育成した。チーク苗のバイオマス、光合成速度および土壌と植物体中の元素濃度を炭処理区と炭を添加しない対照区で比較した。炭には窒素・カルシウム・カリウムが含まれ、これらの元素は養分の役割を果たしていた。炭の添加は、光合成速度・クロロフィル濃度・カルシウム濃度の増加に貢献し、その結果チーク苗の成長は促進された。本試験結果から、炭は砂質土壌の改良に有用な資材であり、チーク苗の成長促進効果をもたらすことが明らかになった。
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