2022 年 21 巻 2 号 p. 91-101
国産早生樹種の被削性を明らかにすることを目的として、国産早生樹種5樹種(コウヨウザン、センダン、ユーカリ2樹種、ユリノキ)とスギの辺心材を2次元切削したときの切削力を測定した。切削角は22°, 32°, 42°, 52°, 62°の5条件とし、切込量は0.5, 1.0, 1.5, 2.0 mm の4条件とした。縦切削時の切削面はまさ目面とし、横切削時は板目面とした。縦切削では、どの樹種でも切削角や切込量の増加とともに主分力は増加した。また、容積密度数の大きい樹種ほど主分力は大きかった。したがって、スギと比較的容積密度数の近いユリノキ、コウヨウザン、センダンはスギと同程度の主分力となった。背分力は切込量や容積密度が大きいほど増加したが、切削角との明確な関係は認められなかった。横切削では、主分力は切削角や切込量の増加とともに増加したが、容積密度数との明確な関係は認められなかった。横切削時の背分力は、切込量が増加するほど増加する傾向があったが、切削角や容積密度数との明確な関係は認められなかった。 樹種や切削方向によらず、辺心材で切削力の大きさはほとんど変わらなかった。切削角や切込量を小さくすることで、樹種間の切削力の違いは小さくなった。容積密度数の大きい早生樹種でも、小さい切削角や切込量を設定することで容積密度数の影響を抑え、小さい切削力で切削できると考えられた。