森林総合研究所研究報告
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21 巻, 2 号
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  • 松田 陽介, 松村 ゆかり, 藤本 清彦, 伊神 裕司
    2022 年21 巻2 号 p. 91-101
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
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    国産早生樹種の被削性を明らかにすることを目的として、国産早生樹種5樹種(コウヨウザン、センダン、ユーカリ2樹種、ユリノキ)とスギの辺心材を2次元切削したときの切削力を測定した。切削角は22°, 32°, 42°, 52°, 62°の5条件とし、切込量は0.5, 1.0, 1.5, 2.0 mm の4条件とした。縦切削時の切削面はまさ目面とし、横切削時は板目面とした。縦切削では、どの樹種でも切削角や切込量の増加とともに主分力は増加した。また、容積密度数の大きい樹種ほど主分力は大きかった。したがって、スギと比較的容積密度数の近いユリノキ、コウヨウザン、センダンはスギと同程度の主分力となった。背分力は切込量や容積密度が大きいほど増加したが、切削角との明確な関係は認められなかった。横切削では、主分力は切削角や切込量の増加とともに増加したが、容積密度数との明確な関係は認められなかった。横切削時の背分力は、切込量が増加するほど増加する傾向があったが、切削角や容積密度数との明確な関係は認められなかった。 樹種や切削方向によらず、辺心材で切削力の大きさはほとんど変わらなかった。切削角や切込量を小さくすることで、樹種間の切削力の違いは小さくなった。容積密度数の大きい早生樹種でも、小さい切削角や切込量を設定することで容積密度数の影響を抑え、小さい切削力で切削できると考えられた。

  • 篠宮 佳樹, 小林 政広, 伊藤 優子, 大貫 靖浩, 坪山 良夫, 澤野 真治
    2022 年21 巻2 号 p. 103-112
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    2012年と2013年に作業道作設を伴う列状間伐 (伐採率は本数で35%) が実施された茨城県内のスギ人工林・落葉広葉樹林からなる森林流域で、渓流を定時に採水して、間伐前と間伐中の、出水時を除く懸濁物質 (SS) 濃度を調べた。この間伐では作業道が全ての支流 (通常は水流が無い) に沿って建設された。2012年の間伐では、間伐実施中の定時調査においてSS 濃度が間伐前と比較して著しく増加することは無かった。しかし、2013年の間伐では、間伐実施中およびその直後において定時調査時のSS 濃度が間伐前に比べて有意に高くなった。さらに、高濃度のSS (175.4 mg L-1) が降雨終了から11時間以上経過後に採水した渓流水で観測された。この要因として、降雨後の湧出水が作業道の路面を侵食した可能性や、作業道の開設や集材作業などの林業機械による攪乱の可能性が考えられた。以上より、間伐実施中は出水時以外でも渓流水のSS 濃度が間伐前より著しく上昇する場合があることがわかった。

  • 小林 正彦, 松永 正弘, 神林 徹, 石川 敦子, 山田 昌郎
    2022 年21 巻2 号 p. 113-128
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    木材- プラスチック複合材(混練型WPC)(以下、WPC と略す)は、耐水性や耐朽性が比較的高いことから主にデッキ材等のエクステリア材料として利用されているが、国内のエクステリア市場において増加傾向が見られない近年の状況の中、用途拡大が求められている。本研究ではWPC がこれまであまり使用されてこなかった海洋環境におけるWPC の劣化について基礎的な知見を得るために、木材とプラスチックのみを原料とし、木粉率を60%から75%まで段階的に高めて製造したWPC を海洋環境に暴露し、木粉率の違いが劣化に伴う変色、質量変化、寸法変化、曲げ弾性率の変化、表面の化学変化などの物性の変化に及ぼす影響について詳細な検討を行った。その結果、海中暴露試験では延べ21か月間の試験期間を通し、海虫類の食害はほとんど認められず、質量減少率は数%程度であった。また、曲げ弾性率については、木粉率が高いWPC ほど大きく低下した。一方、飛沫帯暴露試験ではWPC は太陽光による光劣化をうけ、暴露初期に大きく変色することがわかった。また、暴露期間を長くするに従い、木粉率が高いWPC ほど変色した部分の剥落が認められた。また、曲げ弾性率については、飛沫帯では海中より試験片が水に接触している時間が短いにもかかわらず、海中暴露試験と同様の低下傾向を示した。得られた結果を基に、海洋環境におけるWPC の利用可能性について考察した。

  • 稲垣 善之, 藤井 一至, 浦川 梨恵子
    2022 年21 巻2 号 p. 129-137
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
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    森林生態系の物質収支を明らかにする際に樹木の養分蓄積速度を推定することが重要であり、適切な推定手法を選択することが必要である。本研究では日本の4つの森林(大谷山、上賀茂、桐生、鷹取)において養分循環を比較し、2通りの手法で樹木の養分蓄積速度を推定した。短期的な手法では数年間の2つの時期における樹木の養分含有量を算出するのに対して、長期的手法ではある時期の養分含有量を林齢で割って算出する。長期的手法による樹木の養分蓄積速度は短期的手法による推定よりも低い値を示した。長期的手法によるカリウム、マグネシウム、カルシウムの風化速度は短期的手法よりも低い値を示した。養分が乏しい森林では、短期的手法による風化速度は高く過大であった。土壌窒素放出速度は長期的手法で短期的手法よりも小さく、窒素制限の森林では短期的手法による推定が過大であった。これらをまとめると、長期的手法による風化速度と窒素放出速度は樹木の養分蓄積速度が一定であることを仮定するものの、森林生態系の養分の持続可能性を評価する際には有益であった。

  • 槇原 寛, 滝 久智, 明間 民央, 日暮 卓志
    2022 年21 巻2 号 p. 139-143
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
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    アーバスキュラー菌根菌子実体を食べる甲虫2種、ムネアカセンチコガネとアカマダラセンチコガネの季節的消長を観察した。茨城県かすみがうら市の森林総合研究所千代田試験地のスギ林地表にフライトインターセプトトラップを設置して両種を捕獲したところ、春から秋に捕獲され、初夏に捕獲ピークがあった。ムネアカセンチコガネの捕獲はどの季節でもほぼ雌雄同数であったが、アカマダラセンチコガネは初夏に雌が多く捕獲された。本報は両種がスギ林内で捕獲されることを明らかにした最初の記録である。

  • 伊東 宏樹, 倉本 惠生, 石橋 聰, 山嵜 孝一, 谷村 亮
    2022 年21 巻2 号 p. 145-151
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
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    電子付録

    択伐後の更新補助作業として小面積樹冠下地がきおよび人工根返しを実施した北海道の針広混交林において、作業実施後10年目における稚樹の更新状況を統計モデリングにより検証した。更新可能と判断された稚樹が存在する確率におよぼす両者の効果は正、すなわち更新可能稚樹の存在確率を高くすると推測された。シカ柵は90%程度の確率で下層植生の植生高を高くする効果を持つと推定されたが、これを経由した間接効果を含めても、総合的にはシカ防護柵は更新可能稚樹の存在確率を高くすると推定された。 また、ウダイカンバは、小面積樹冠下地がき・人工根返しのいずれによっても定着が促進されることが示唆された。

  • 牧野 俊一
    2022 年21 巻2 号 p. 153-159
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
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    関東地方の樹齢の異なる6つの広葉樹二次林において、マレーズトラップ(MT)とベイトトラップ(BT)(餌はオレンジジュースと焼酎の混合)とでスズメバチ亜科の捕獲数と種組成を比較した。春季(5月〜6月)と秋季(8月〜10月)に、MT は合計6種3属99個体、BT は8種2属918個体を捕獲した。 BT は春季には最も若い林分で、また秋季には6林分すべてにおいて、MT よりも多くの個体を捕獲した。 BT ではMT に比してクロスズメバチ属よりスズメバチ属の捕獲比率が高かった。全体としてBT は、ホオナガスズメバチ属など特定のグループに対する誘引性が低いことを考慮して使用すれば、スズメバチ亜科の多様性と現存量を比較する有効な方法であると言える。

  • 古本 良
    2022 年21 巻2 号 p. 161-163
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 上田 明良, ドウィバドラ ディアン, カホノ シ, スギアルト , 越智 輝雄, 近 雅博
    2022 年21 巻2 号 p. 165-192
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/30
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

    糞虫(コガネムシ上科食糞群)は、熱帯地域において生息環境特性の有用な指標群として知られている。様々な土地利用タイプにおける糞虫の多様性を評価するために、インドネシア共和国東カリマンタン州バリクパパン市の北方10~40 km の低地に広がるスンガイワイン保護林とその周辺において2004年から2017年の間、人糞と魚肉を誘引餌とした落とし穴トラップを用いて糞虫調査を行った。この調査では68種の糞虫が捕獲された。これらの種を同定する手助けとして、全種の写真と標徴および、よく似た種を区別するための有用な特徴の写真を提示した。インドネシアではこれまで糞虫の図鑑はなかった。本図鑑はボルネオ島のわずかな地域をカバーしたものに過ぎないが、本図鑑がインドネシアの昆虫研究者や昆虫愛好家が糞虫を種同定する際の手助けになることを切に願う。

  • 2022 年21 巻2 号 p. 193
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/03
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
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