森林総合研究所研究報告
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研究資料
竜ノ口山森林理水試験地観測報告(2011 年1 月~2015 年12 月)
細田 育広
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2023 年 22 巻 2 号 p. 89-107

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抄録

森林総合研究所関西支所の竜ノ口山森林理水試験地 (北緯34°42′、東経133°58′) における2011~2015年の降水量と流出水量の観測結果をとりまとめた。当試験地は瀬戸内海式気候下に位置し、南谷と北谷の二流域で構成される。流域の大部分は古生層、北谷右岸と両谷最下流部は石英斑岩などの火成岩を基岩とする。1981~2010年の年降水量の平均値 (平年値) は1181.2 mmである。月平年値を積算して求めた年流出水量の平年値は南谷355.1 mm、北谷353.8 mmである。本報期間において、植生の分布は2010年と変わらないが、南谷中流左岸の2006年植栽木の成長は著しかった。年降水量は、1年置きに平年値付近とそれを250 mm以上上回る変動を繰り返し、平均1355.8 mmとなった。特に、2011年は台風12号 (TALAS) と15号(ROKE)、2013年は梅雨前線と台風17号 (TORAJI) などの影響で降水量の多い年になった。2013年2月末に北谷で、2014年2月中頃に南谷で量水堰堤の浚渫をおこなった。浚渫中の流出水量は、推定値を示した。推定値を含めた年流出水量の平均値は、南谷395.7 mm、北谷499.9 mm、平均年流出率は、南谷29.2%、北谷36.9%であった。

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