森林総合研究所研究報告
Online ISSN : 2189-9363
Print ISSN : 0916-4405
ISSN-L : 0916-4405
論文
食用野生光合成生物のセシウム137 の面移行係数
清野 嘉之 赤間 亮夫
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー
電子付録

2023 年 22 巻 3 号 p. 109-131

詳細
抄録

放射線被ばくによる健康上のリスクを減らすうえで、食用野生種の放射性物質濃度を知ることが重要である。2011年の福島第一原発事故の影響を受けた地域に生育する食用野生光合成生物種 (植物、陸生シアノバクテリア、岩石上生地衣類) 380種2094部分、非食用野生光合成生物27種72部分、食用栽培植物15種22部分、計422種2187部分のサンプルを2015~2019年に採取し、生育地の堆積有機物層と土壌から生物体に移行する放射性セシウム137 (137Cs) の面移行係数 (Tag) 値を求めた。野生種の食用部位137Cs Tag平均値は種によって大差があった (種Tagの最大/最小比は栄養器官で約2000、有性繁殖器官で約920)。食用野生種の代表的食用部位の種Tag平均値について、栄養器官、有性繁殖器官別に重回帰分析を行ったところ、森林に生育する種は林外に生育する種よりTag値が高い傾向があった (P < 0.023)。また、データが得られた栄養器官で、付着根を持つなど樹幹や石などに生物体を付着させて生育する種はTag値が高かった (P < 0.010)。種の生態的特性は種の137Cs Tagに大きな影響を与えた。種によって137Cs Tagが大きく異なることから、食用光合成生物の放射能の食品安全性評価は種を単位とすることが重要である。

著者関連情報
© 2023 森林総合研究所
次の記事
feedback
Top