昭和初期の「国有天然林調査報告書」のデジタルアーカイブの一環として、紙媒体である「十和田國立公園地域 植生調査説明書」の原本をスキャン画像として保存した。また、原本の本文を現代語訳するとともに新旧植物名の対応表を作成した。この原本は、十和田湖および八甲田山地域の国立公園内において、1933~1936年 (昭和8~11年) 頃に、青森営林局が実施した国有天然林の一連の森林調査を総括した報告書である。当該地域にある様々な植生について、その組成構造や主要植物の分布状況等が網羅的に記載されるとともに、植生保全のあり方や垂直分布が議論されている。本資料は山岳地域の長期生態学研究に役立つ情報となるだけでなく、当時の森林官の自然環境や森林植生に関する見識や調査能力も伝える貴重な学術資料である。