2024 年 23 巻 2 号 p. 83-88
九州産のスギ品種を四国中央部で植栽したところ、4成長期末において枯れ症状が多く発生した。標高900mの北向き斜面に植栽した特定母樹苗「高岡署1号」112本のうち66本に個体の枯死や主軸・枝葉の枯れといった枯れ症状が認められ、その本数割合は在来品種「タノアカ」(109本のうち5本) よりも多かった。2023年の春先や初冬に急激な冷え込みがあったこと、幹基部に凍傷痕がなく枯れ症状が真冬に進行しなかったことから、高岡署1号の枯れ症状は晩霜害・早霜害がおもな原因と考えられた。高岡署1号はタノアカよりも低温への感受性が高いと考えられるため、特定母樹苗である高岡署1号の優れた特性を活かすには植栽場所を慎重に選ぶ必要があろう。