2024 年 23 巻 4 号 p. 101-120
九州・沖縄地域に分布する主要な森林土壌の保水特性を明らかにするため、堀田 (1997) の学位論文の付表にある513の森林土壌の孔隙解析データにvan Genuchtenモデルをあてはめ、保水曲線の孔隙径分布の広さを表すパラメータmと孔隙径分布のピークの孔隙径を表すパラメータψ0、さらにvan Genuchtenモデルから算出される重力水分量、易有効水分量の4つの保水特性値を抽出し、8つの土壌タイプに分けて保水特性値の違いを比較した。その結果、赤・黄色系褐色森林土タイプと赤・黄色土タイプは重力水分量も易有効水分量 も少ないこと、黒色土タイプは易有効水分量は多いが重力水分量は少なく、また孔隙径分布が広く分散的であること、海岸砂丘砂を母材とする未熟土タイプは特に下層土の重力水分量が多く、他の土壌タイプより小さい孔隙径に分布のピークを持ち、そこに分布が比較的集中した孔隙特性を持つこと、褐色森林土では適潤性タイプの方が乾性タイプより易有効水分量が多く、孔隙径分布が広く分散的であること等の特徴が整理された。気候変動が山地の水流出や樹木成長等に及ぼす影響の予測精度を高めるには、地域ごとに特徴ある森林土壌の保水性データを関数化し、降雨流出モデルや樹木成長モデルに活用することが不可欠である。そのため今後も様々な地域・母材・土壌型の保水性データの収集・整備を進めていく必要がある。