森林総合研究所研究報告
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森林総合研究所付近でロードキルによって斃死したアライグマ (Procyon lotor) から採取した外部寄生虫
土井 寛大 亘 悠哉永田 純子
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2024 年 23 巻 4 号 p. 121-126

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抄録

2023年10月、森林総合研究所付近 (茨城県つくば市松の里) で斃死したアライグマの全身から外部寄生虫を採取した。採取された寄生虫はキチマダニ、フタトゲチマダニ、ネコノミ、ケモノハジラミ科であった。採取された2種のマダニはSFTSウイルスや日本紅斑熱リケッチアなどの病原体を媒介し、ネコノミはネコひっかき病の原因細菌を媒介する。以上から、アライグマが宿主として感染症を媒介する寄生虫の運搬・維持の役割を担い、市街地に近い地域であっても感染症や吸血の人に対するリスクが示唆される。こうした公衆衛生上のリスクを踏まえて,外来種管理やロードキル現場で作業する野生動物管理従事者は感染症の予防措置をとることが推奨される。

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