2025 年 24 巻 2 号 p. 121-132
蔵王連峰においてオオシラビソの集団枯損をひきおこした食葉性のトウヒツヅリヒメハマキ (チョウ目:ハマキガ科) の形態情報を包括的に整理した。本種の成虫は、前翅の斑紋、雄交尾器のテグメン、ウンクス、ソキウス、ヘニオンと把握器、そして雌交尾器のステリグマとシグヌムの形態により識別された。幼虫は、刺毛基板、鉤爪、尾叉、および側腹刺毛の形態形質の組み合わせにより特徴づけられた。この地域の幼虫は、既往の記載とは異なり、尾叉をもち、腹脚の鉤爪は同長状であった。追加的な枯死被害をもたらした樹皮下穿孔性のトドマツノキクイムシ (コウチュウ目: ゾウムシ科) についても識別形質を写真で示した。本研究は、分類を専門としない研究者が、モミやトウヒで発生した害虫が両種であるかどうかを判断するのに役立つだろう。