2025 年 24 巻 4 号 p. 265-273
樹木の精油成分が幅広い機能性を持つことはよく知られており、人々の暮らしの中で様々な製品として広く活用されている。本研究では森林資源を原料とした新規アルコール飲料「木の酒」の風味特性について、人による官能評価を用いて明らかにすることを目的とした。スギやシラカンバ、ミズナラ、クロモジ、ヤマザクラを原料とした「木の酒」を試料として、官能評価手法の一種であるCheck-All-That-Apply (CATA) 法を用いて香りと味の特性を評価した。一般消費者を対象とした調査から、スギは「木香」と「苦味・刺激味」、シラカンバは「草様・青臭あるいは果実様香」と「甘味」、ミズナラは「樽熟成香」と「重厚な味」、クロモジは「花様香・果実様香」と「苦味・刺激味」の特徴が抽出され、香りと味の調和や総合評価からも樹種ごとの違いが明らかとなった。評価用語の最適化や化学分析データとの整合性等の課題は残っているが、「木の酒」が持つ独自の風味特性の解明において人の五感を用いた官能評価の適用可能性が推察された。森林資源の新たな魅力の発信に向けて更なるデータの蓄積を進めていきたい。