Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357
原著
保健機能食品の認知に関する実態調査−一般消費者と医療従事者を対象として−
山田 沙奈恵山王丸 靖子 関口 祐介五十嵐 庸和田 政裕
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 20 巻 p. 89-96

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抄録

保健機能食品(特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品)に関する理解の程度を明らかにすることを目的とし,2017年11月と2018年3月にインターネット調査を行った.対象者は,一般消費者300人と医療従事者(薬剤師,管理栄養士,看護師)392人を対象とした.調査項目は,対象者の属性(性別,年齢),健康食品の使用経験,保健機能食品の内容に関する認知と知識の程度である.本研究における健康食品の定義は「保健機能食品ならびに健康の維持向上を目的としたすべての食品」とした. 調査の結果,全対象者の半数以上が健康食品の使用経験者であった.一般消費者の約20%が健康食品を医薬品だと思う,医薬品に近いと思うと回答した.3種類の保健機能食品の認知および知識の程度は一般消費者が最も低かった.医療従事者における認知および理解は,職種による程度の差が見られ,管理栄養士が薬剤師,看護師よりも高い傾向を示した.保健機能食品のうち,特定保健用食品の認知度がどの集団においても高かった.これは,制度開始から20年以上が経過したためと考えられる.一方,2015年から制度が始まった機能性表示食品の認知度は,どのグループにおいても低い傾向にあった. これらの結果から,保健機能食品についての知識は医療従事者においても,十分ではない可能性が示された.今後は,一般消費者の保健機能食品の適正かつ安全な利用を目指し,医療従事者間での情報共有が必要である.同時に,保健機能食品を含めた健康食品に関する新たな情報提供体制の構築が必要である.また,一般消費者においては,自分の健康に責任を持ち,自ら情報収集を行うとともに,健康食品手帳(消費者庁)などの利用を進めることが望まれる.

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