抄録
法隆寺は日本最古の木造建築であり、我国建築技術の始祖となるものである。日本建築史上では突如として現われたものであるが、その建築技術の背景には半島系渡来工人のもたらした高度の建築技術、さらに中国大陸から半島に移住した中国系工人による数百年の歴史に裏付けられた技術が存在することは明らかであり、法隆寺を通してその技術的背景をさぐることが可能となろう。本報告は、法隆寺の金堂、五重塔、回廊などに現われる各種寸法系について、使用された曲尺の尺度構造及び中国営造尺などをふまえ、これまでと異なった評価が可能かを検証し、法隆寺の建築技術を支えた寸法設計体系の考察を行ったものである。