抄録
東日本大震災では九段会館をはじめ、多くの建物で天井板剥落が発生した。古い建築物ではその一件で解体が決定される事例もあるため、保存的活用を行う場合に重要な懸案事項として認識すべきである。本研究では、木摺漆喰工法で施工された天井板に着目し、漆喰調合等による性能の差異を評価した。実験では、数種類の調合で作製した漆喰試験体で性能を比較した結果、すさの含有率が強度へ最も影響を及ぼす傾向が認められた。さらにそれを踏まえた上で、実構造部材に対する非破壊・微破壊試験の結果、比較的高精度で性能予測が可能であることが判明し、適切な補修による既存部材の活用や、建物の改修費用の削減、オーセンティシティの保護等が期待できる。