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林業の有する外部経済効果の実践的評価が特化パターンにおよぼす影響
中間財を含む多数国多数財比較生産費モデルによる考察
江尻 陽三郎
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2005 年 4 巻 p. 147-173

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抄録

日本および米国の各部門の生産額を変数とし、両国の林業が提供する外部経済効果を勘案したGDPの合計額を目的関数とする線形計画問題を考え、この目的関数を最大化するような各国の生産特化パターンはどのようなものになるのか、考察した。最初に、2国2財比較生産費モデルと線形計画問題との対応関係について考察した。次いで、この対応関係を手がかりに、中間財を含む多数国多数財の比較生産費問題を、線形計画法の問題として簡潔に定式化した。さらに、各国の林業が提供する外部経済効果を内部化すべく、目的関数を修正した。最後に、日米2国の21財についての経済データを用いてこの線形計画問題を実際に作成し、望ましい国際特化パターンを算出した。考察の結果、現在の日本および米国の林業が提供する外部経済効果をそれぞれ、数千億~数十兆(円/年)なる範囲内の適当な値に見積もるならば、その見積額のもとでは、日本は林業の自給率の向上を図り、米国はそれを抑制することが望ましい。等の結論が得られた。

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