日本理科教育学会研究紀要
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静電気の学習における問題点
田中 利一郎
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1980 年 20 巻 2 号 p. 23-28

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抄録

高等学校物理における電気教材はその総合的理解を深めるために,静電気の学習の成果を基礎として電流の学習を行なうようになっている。しかし現実には静電気の学習が電流の学習の基礎として効果を上げているかと言う点では疑問がある。それは,静電気の教材が小学校・中学校で殆んど学習されていないのに,電流の学習は非常に詳細に学習されている。このような不均衡のもとでの高等学校における静電気の学習は,最初に定性的な坂扱いを十分にして後に定量的実験,法則化の方向をとるべきである。しかるに,教科書に取上げられている実験は定性的なものと定量的な実験とを混同して学習するようになっている。そのうえ,使用している機器・計器が電流の学習に使用している機器類に比較して少く,定量的実験をするためには大変幼稚的すぎるなどの点を上げることができる。本論文では現在理科機器として市販されている機器類の中にも十分定量化機器として使用できるものがあること,これらを取入れることにより静電気教材の問題点を解決することができることを示した。さらに,我々の試作器についても以上の目的に有効な使用ができることを示した。

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© 1980 一般社団法人日本理科教育学会
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