日本理科教育学会研究紀要
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中学校における力の概念の指導法に関する研究
山本 正輝松尾 征二
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1980 年 21 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

力は生徒にとって日常経験が豊富であるにかかわらず,その正しい概念の獲得は困難である。そこで力学の基礎となる中学校一年の力学教材のうち「力のはたらき方」~「 2力のつりあい」までの指導法を研究した。筆者等の考えた指導法と従来の指導法の大きな違いは次の四点にある。1. 作用・反作用の学習を2カのつりあいの後で学習させる。2. 力の伝達的な見方を導入する。3. 1点にはたらく2カのつりあいは図示の段階で指導する。4. 「力は物体問ではたらくこと」の意識化を図るため,力を「物体Xが物体Yから受ける力」と表現させる。この指導法により,「力は物体間ではたらくこと」,「物体間ではたらく力は相互作用であること」,「作用・反作用と2カのつりあいは本質的に異なること」など基礎的事項に対する理解に有効であることがわかった。

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© 1980 一般社団法人日本理科教育学会
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