自然に親しみ,その中から問題を発見し,それから学ぶ能力と態度を育てるという理科教育において,自然認識の充実のためには,言語活動の様子をも授業分析の中にとり入れることが重要であると考えられる。そこで我々は言語活動の評価を総合的,多角的にするため理科の授業を録音再生しながら,ペンレコーダーで記録をして,そのパターンを分類して行く方法を開発した。この時教師の発言 Tと学習者の発言の二元にわけ,さらに学習者の方ははっきり聞きとれる部分Sと,記録不能な雑音的部分Nの別に記録してゆくという方法をとった。そして第ーにこの記録を用いてT.S.Nの総時間を測定し,授業中の発言量評価をおこなった。次にペンレコーダーの記録の型を,しゃべり続けのA型から,沈黙のD型までの数種に分け,また学習者では雑音的なE型を加えて分類する。そしてさらに授業を二元的にAD, BB, 等の9種の型に分類して,時間的な流れの図をえがき,授業の評価を流動的にとらえることができる。あるいは全授業の中でのAD, BB等の型の割合をスペクトル的に調べると,いくつかの授業をパターン的に比較できる。これらはテープレコーダーとペンレコーダーがあれば,あまり労力と時間をかけず,またあまり主観に左右されず授業分析をすることができ,学内だけの授業研究にかなりの効果を発揮できるものと思われる。
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