1991 年 32 巻 2 号 p. 35-46
理科教育の目的の背後にある科学観に着目して、理科教育の目的を分析する視点について明らかにした。先ず、現代に特徴的な理科教育の目的とその背後にある科学観との対応を次の6つに類型化した。(1) 実用的知識の伝達と実利的功利的科学観 (2) 専門科学的能力の育成と探究としての科学観 (3) 科学の鑑賞と文化としての科学観 (4) 狭義の科学論的理解と自然の一つの観方としての科学観 (5) 社会的能力の育成と社会的存在として科学観 (6) 科学批判的能力の育成とイデオロギー的正当化機能をも有する産業化された営みとしての科学観 次に、科学観に着目したり、この対応の類型を使って、理科教育の目的を分析する際に留意すべき3つの視点を指摘した。すなわち、(1) 理科教育の目的に対する科学観の影響を教育観の全体的枠組の中で問題にすること。(2) 理科教育の目的に対する多様な科学観の併存的影響に着目すること。(3) 顕在的科学観ばかりでなく、潜在的科学観の影響にも留意すること。