日本理科教育学会研究紀要
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生物の生活史に対する高校生の認識について~カブトムシを事例に~
松森 靖夫萬木 敏樹
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1998 年 39 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

発生や遺伝をはじめとする生物の学習にあたっては教材生物の生活史に関する認識は非常に重要である。しかしそれらに対する配慮はあまりなされていないように思われる。そこで本研究では身近で良く知られた生物の1つであるカブトムシの生活史に対する高校生の認識を把握するための調査を行った。その結果,得られた知見としては以下のものが挙げられる。1 カブトムシが成虫で冬眠すると回答した高校生が全体の約半数に及ぶ。2 親子2世代のカブトムシが同時に存在すると考えている高校生が存在する。3 冬に「メスは冬眠,オスは死ぬ」というように雌雄によって寿命が異なると回答した高校生が存在する。このようなことより,生命の連続性に関わる学習において高校生の教材生物の生活史の認識へも配慮することの必要性を指摘するものである。

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© 1998 一般社団法人日本理科教育学会
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