日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
HIVプロテアーゼ阻害薬アンプレナビル(プローゼ®カプセル)の薬理学的特性と臨床効果
石澤 優小松 英忠
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2001 年 117 巻 1 号 p. 59-64

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抄録
アンプレナビル(プローゼ®カプセル)は, HIVプロテアーゼ阻害薬で米国の臨床試験においてその有効性が証明され, 1999年に承認された.本邦においても同年9月に承認されている(キッセイ薬品工業株式会社より10月に発売).本剤は, 通常成人にはアンプレナビルとして1回1200mg(8カプセル)を1日2回, 他の抗HIV薬との併用により経口投与される.本剤は食事とともにあるいは食事とは別に服用は可能であるが, 高脂肪食との併用は避ける.アンプレナビルによる薬剤耐性発現についてはHIV-1プロテアーゼ遺伝子の主にI50V, M46I/L, I47V, I54L/V, およびI84Vの位置でアミノ酸置換を伴う突然変異が認められている.これは, 他のプロテアーゼ阻害薬と変異発現のパターンが異なることから, 薬剤の切り替え等において本剤はHIV治療の選択肢を広げ, 治療に貢献する薬剤となり得る.アンプレナビルは薬物代謝酵素のCYP3A4により代謝されるため, CYP3A4の基質, 阻害薬あるいは誘導体, 又はCYP3A4で代謝される薬剤と相互作用を生じる可能性があり, 他剤との併用には注意が必要である.アンプレナビルは本邦では5成分目のプロテアーゼ阻害薬であるが, 他剤との違い, 特性を理解した上での使用が, 本剤の有用性を高める上で重要と考えられる.
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© 2001 公益社団法人 日本薬理学会
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