日本薬理学雑誌
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総説特集号 「薬の作用機序と生態機能の分子的理解に向けて」
ハイスループット薬理学:
創薬における研究手法の効率化と大規模化
尾崎 博今泉 祐治大石 一彦小濱 一弘
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2001 年 118 巻 3 号 p. 187-196

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抄録

この5年ほどの間にハイスループットスクリーニング(High Throughput Screening:HTS)が急速に広まった. HTSとは, アッセイをロボット化し自動化したものであり, 人手に頼ることなく大量のサンプルを短時間にアッセイして, リード化合物を探り当てようとするシステムである. 製薬企業では, このHTSが重要な戦略の一つとなっており, またゲノム創薬が動き出していることも追い風となり, HTSにかかる期待は大きい. 一方, 従来型のアッセイシステム, すなわちLow Throughput Screening (LTS)の役割の重要性が薄れたわけではなく, なお一層の効率化あるいは精度の向上が求められている. つまり, HTSとLTSの連係プレーが, リード化合物を臨床試験へと導く大事な鍵となる. 本稿では, 始めにHTSの概略を説明し, 次にLTSの質の向上と速度の改善を目指す3つの試みを紹介する.

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© 2001 公益社団法人 日本薬理学会
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