骨粗鬆症治療薬は一般に単剤での処方だけでなく, 数種類の薬剤が併用されることが多いが, その根拠となるデータは非常に少ない. ビタミンK
2(メナテトレノン, K
2)と1α(OH)ビタミンD
3(D
3)はいずれも臨床で骨粗鬆症治療薬として広く用いられている. そこで卵巣摘除ラットを用いて両薬剤の併用の意義を検討した. フィッシャー系20週齢雌性ラットを偽手術あるいは卵巣摘除し, 卵巣摘除ラットをさらに対照, K
2, D
3, K
2+D
3の4群(n=10)に分けた. 全てのラットを個別ケージで制限給餌により飼育し, K
2はメナテトレノン(MK-4)約37mg/kgを混餌投与, D
3は1α(OH)D
3を0.3μg/kg週3回, 8週間経口投与した. 8週後の血漿中カルシウム(Ca), 無機リン, アルカリホスファターゼ活性, オステオカルシン, 1,25(OH)2D
3, 副甲状腺ホルモン(PTH), MG-4濃度および大腿骨の骨密度と3点曲げ骨強度を測定した. 卵巣摘除による血漿中各パラメータへの影響は認められなかった. D
3群は単独, 併用ともに血漿中Caは高値を, PTHは低値を示した. 全骨領域および海綿骨領域の骨密度は卵巣摘除により骨端部ではそれぞれ偽手術群の81%, 41%に, 骨幹部ではそれぞれ96%, 86%に減少した. K
2, D
3の各単独群は骨端部全骨領域の骨密度, 骨幹部海綿骨領域の骨密度, 骨塩量の低下を抑制した. K
2+D
3群では単独群で作用を示したパラメータの他に骨端部での全骨領域および海綿骨領域の骨塩量の低下を抑制した. またK
2+D
3群は骨端部海綿骨領域の骨密度, 骨塩量, 骨幹部の皮質骨厚でD
3群に比して有意に高値を示した. 骨強度はK
2+D
3群でのみ対照群に比して最大荷重は有意に高値を, 剛性は高値傾向を示した. すなわちK
2+D
3群が骨端部, 骨幹部のいずれのパラメータにおいても一番高い値を示した. 以上, K
2とD
3との併用投与はそれぞれの単剤投与に比してより大きな薬効が期待できることが示唆された.
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