日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
特集:動物実験指針
動物実験審査委員会での審議例
倉田 知光政本 多美子安原 一
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 129 巻 1 号 p. 24-30

詳細
抄録

昭和大学における動物実験計画書の審査は,平成14年より実施している.審査は定期審査として年2回(9月,3月),その他緊急を要する計画に関しては,毎月臨時審査として実施している.審査を行う委員は医学部より4名(基礎,臨床各2名),歯学部,薬学部,保健医療学部より各2名,動物実験施設教員2名,動物実験施設長および附属病院教員1名の計14名より構成されている.過去5年間の年間審査件数は概ね370件であった.計画書の記載内容は,申請者の所属等に関する項目,共同実験者,動物種,系統,使用数,飼育期間,飼育条件などの飼育担当者に対する事務的内容の他に動物種,系統選択の理由,使用動物数決定の根拠,代替法の有無,実験動物に対する倫理的配慮,実験計画,安楽死法などの実験動物に加える負荷・苦痛の具体的内容およびその軽減,除去方法などの24項目から成り立っている.計画の申請は全てメール添付のWordファイルにて行い動物実験施設に提出する.申請された計画書は,受付時に記載の不備・不足等の確認を行い,加筆訂正が必要な場合には直接申請者と連絡を取り,審査会議までに必要記載事項を整える.内容確認が終了した計画書は,全て電子媒体に記録し14名の委員に審査の2週間前までに配布している.審査会議においては,動物に加えられる負荷苦痛の程度,その除去軽減に関する配慮等が主に論議される.これまでの審査によって,使用動物数の削減,処置後の動物の観察期間の短縮,薬物処置量や採血量の減量等につい申請者に計画変更を指示した例も多数出ている.これまでの所,審査については大きな問題は起きていないが,審査委員に動物の専門家,獣医等が加わっていない点は今後十分に配慮する必要があると考える.

著者関連情報
© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top