日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
モキシフロキサシン点眼液(ベガモックスTM点眼液0.5%)の薬理学的特性および臨床効果
渡邉 雅一石塚 啓司池元 敏雄
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2007 年 129 巻 5 号 p. 375-385

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抄録

ベガモックスTM点眼液 0.5%は第四世代のキノロン薬(1)といわれる塩酸モキシフロキサシン(MFLX)を主成分とする抗菌点眼液で,各種眼感染症の起炎菌に対して強い抗菌活性を示す.また,ベガモックス点眼液は眼内移行性に優れた点眼液であるため,涙液中,房水中へ高濃度に移行し(2,3),外眼部細菌性感染症,術後眼内炎の予防に有用と考えられる.MFLXは外眼部細菌性感染症由来の臨床分離株を用いた薬剤感受性試験において,グラム陽性球菌に対し,従来のキノロン薬に比して同等~16倍の抗菌活性を示した.また,当該疾患患者に対する臨床効果において,有効率(「著効」および「有効」)は94.8%(368/388例)であった.眼科周術期の無菌化療法試験における無菌化率は85.0%(68/80例)であり,臨床試験におけるベガモックス点眼液の有効性が確認された.臨床試験で発現した副作用は,眼痛(しみる,18/586例,3.1%),味覚異常(点眼時の苦味,8/586例,1.4%)が主なものであり,本点眼液の安全性は良好と思われた.また,41日齢以上,12歳未満の小児42例においても副作用発現は同様であり,本点眼液は小児に対しても安全性が高い点眼液であることが示唆された.

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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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