日本薬理学雑誌
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特集:生活習慣病から急性疾患に至るまでの血管内皮細胞障害の重要性
血管内皮機能とインスリン抵抗性
窪田 哲也窪田 直人門脇 孝
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2008 年 131 巻 2 号 p. 85-88

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抄録

血管内皮は,さまざまな生理活性因子を産生・分泌することによって,血管の収縮・拡張,細胞増殖,白血球接着阻止,血小板接着・凝集阻止などの抗炎症作用や凝固線溶系などの調節を行っている.血管内皮機能が障害されると,動脈硬化の初期病変が形成され,最終的には我が国の死因の第一位を占める動脈硬化性疾患(心筋梗塞,脳梗塞など)の発症につながると考えられる.この血管内皮機能をつかさどる分子の一つとして血管内皮型NO産生酵素(endothelial NO synthase: eNOS)が重要な働きをしていると考えられる.インスリンはこのeNOSをリン酸化し,活性化することによって血管内皮機能を調節していると考えられている.eNOS欠損マウスでは,血管内皮機能障害に加えて,インスリン負荷後の骨格筋の血流低下により,骨格筋のインスリン抵抗性を発症することが報告されている.さらに,血管内皮細胞がインスリンのバリアー機構として働き,インスリン抵抗性モデル動物では,特に骨格筋においてこのバリアー機構が破綻していることが報告されている.本項では,インスリンの血管内皮機能の調節,インスリン抵抗性発症における血管内皮の役割を中心に概説したい.

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