日本薬理学雑誌
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特集 神経精神疾患における脳内環境破綻の分子基盤
『高感度Ca2+プローブで脳の細胞活動を視る』 蛍光Ca2+プローブタンパク質を用いた神経細胞とアストロサイトのCa2+イメージング
大倉 正道中井 淳一
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2013 年 142 巻 5 号 p. 226-230

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抄録
Ca2+イメージングは多細胞の時空間活動パターンを同時に解析できる研究手法としてきわめて有用である.我々は緑色蛍光タンパク質GFPを用いた遺伝子コード型蛍光Ca2+プローブG-CaMP(ジーキャンプと呼ぶ)を開発・改良し,生体モデル動物の単一細胞レベルで精度の高いCa2+イメージングを目指してきた.本稿では微弱なCa2+シグナルを検出できる改良型G-CaMPとR-CaMPの開発について,さらにその神経細胞とアストロサイトにおける応用例について紹介したい.具体的には①高感度・高性能なG-CaMP6,7,8の開発と神経細胞の単一発火活動に伴うCa2+活動の検出,②樹状突起スパインに局在するCa2+プローブG-CaMP6-actinの開発と神経細胞の発火閾値下での興奮性シナプス入力に伴うCa2+シグナルの検出,③光刺激プローブであるchannelrhodopsin-2(ChR2)との併用が可能な高性能な赤色Ca2+プローブR-CaMP1.07の開発とChR2の光刺激で誘発させた神経発火活動の検出,④G-CaMPを用いたアストロサイトの突起内や細胞膜局所のCa2+活動の検出,について紹介したい.近年のG-CaMPの性能向上には目覚ましいものがあり,今後は高感度・高性能なCa2+プローブを用いてグリア-神経連関をはじめとする多細胞・多シナプスの時空間活動パターンを同時に解析する研究が進むことが期待される.
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© 2013 公益社団法人 日本薬理学会
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