日本薬理学雑誌
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特集 新規統合失調症治療薬創製のためのターゲットバリデーション戦略
『リスク因子からの次世代創薬アプローチ』 リスク因子からのターゲットバリデーション戦略
三宅 進一多神田 勝規松本 光之
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2013 年 142 巻 6 号 p. 271-275

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抄録

統合失調症や双極性障害は陽性症状,認知機能障害,陰性症状を含む多様な症状によって特徴づけられる複雑な疾患であり,その顕著な症状により社会的営みが大きく阻害される.精神疾患の発症原因に関する分子メカニズムのほとんどは不明なままであるが,近年のヒト遺伝学研究の発展によりこれまでに一塩基多型(single nucleotide polymorphisms:SNPs)や染色体座コピー数多型(copy number variation:CNV)等に代表される多数のリスク因子が報告されている.我々はこれらリスク因子を反映もしくはリスク因子に起因するような情報伝達系異常を反映した遺伝子改変動物モデルを作製もしくは導入し,マウスの行動評価に加え遺伝子発現変動解析,生化学的解析,形態学的解析を実施することで複数の動物モデル間で共通に見られるエンドフェノタイプ(中間表現系)を見出す試みを実施している.これまでに複数の遺伝子改変精神疾患動物モデルで未成熟脳/immature dentate gyrus(iDG)フェノタイプが共通に生じることが報告されているが,我々は類似のフェノタイプが統合失調症/双極性障害患者死後脳の海馬dentate gyrusでも認められることを明らかにした.本稿ではiDGフェノタイプのバリデーションを例として,リスク因子を反映した動物モデル解析から病態生理学に基づいた次世代創薬アプローチの可能性について議論したい.

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