日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
フィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」の品質特性,非臨床試験および臨床試験成績
大庭 澄明今田 和則友光 将人竹谷 仁吏金子 大樹
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2013 年 142 巻 6 号 p. 304-314

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抄録

フィルグラスチムは,遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー形成刺激因子であり,好中球前駆細胞から成熟好中球への分化・増殖の促進,骨髄からの成熟好中球の放出促進による末梢血中の好中球数増加および好中球機能の亢進,造血幹細胞の末梢血への動員等の作用を有し,がん化学療法による好中球減少等の治療に利用される生理活性タンパク質である.持田製薬株式会社および富士製薬工業株式会社がそれぞれ販売を開始したフィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」およびフィルグラスチムBS注シリンジ「F」は, グラン®(協和発酵キリン株式会社)を先行品とするバイオ後続品であり,それらの有効成分は,グラン®の有効成分であるフィルグラスチム(遺伝子組換え)と同一の一次構造を有し,グラン®の1番目のバイオ後続品の有効成分を意味するフィルグラスチム(遺伝子組換え)[フィルグラスチム後続1]である.当該フィルグラスチムバイオ後続品の開発においては,「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」および「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」に準拠して,品質特性,非臨床試験(薬理試験と毒性試験),および臨床試験を実施した.フィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」の品質特性は,先行品と同等/同質であった.また,非臨床試験および臨床薬理試験において,好中球数増加作用,末梢血中への造血幹細胞の動員作用および薬物動態,安全性は,先行品と同等/同質であった.さらに,乳がん患者を対象とした第III相試験において,有効性・安全性が確認された.持田製薬株式会社と富士製薬工業株式会社は,これらの成績をもとに本邦でフィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」の製造販売承認申請を行い,2012年11月に先行品と同じ効能・効果で承認を取得,2013年5月に薬価収載され,販売を開始した.今後,フィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」は,医療現場において広く使用されることが期待される.

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