日本薬理学雑誌
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糖尿病・代謝性疾患の新規治療薬創製を目指した研究戦略
『GPR40/FFAR1 アゴニストの薬理作用』 新規糖尿病治療薬 GPR40/FFAR1 選択的アゴニスト Fasiglifamの研究開発
辻畑 善行
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2014 年 144 巻 2 号 p. 59-63

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抄録
G タンパク質共役型受容体(GPCR)は,既存薬の約30%が作用する主要な創薬ターゲット分子であるため,ゲノム解析から新たに発見されたGPCRの中には,新薬の標的分子が潜在している可能性ある.G protein- coupled receptor 40/free fatty acid receptor 1(GPR40/FFAR1)は,インスリン分泌細胞である膵β細胞に高発現するGPCR として発見され,その後の機能解析から,この受容体が遊離脂肪酸によるインスリン分泌作用を担うことが示された.GPR40/FFAR1 を介したインスリン分泌促進作用はグルコース濃度依存的であることから,この受容体をターゲットとした合成低分子アゴニストは,低血糖リスクの少ない新たなインスリン分泌促進薬になることが期待されている.Fasiglifam(TAK- 875)は武田薬品工業(株)で創製された選択的かつ強力なGPR40/FFAR1 アゴニストであり,動物およびヒトの2 型糖尿病に対して著明な血糖効果作用を示す一方で,低血糖リスクが極めて少ないことが示された.本稿ではGPR40/FFAR1 の発見からfasiglifam の臨床成績取得に至るまでの研究開発経緯について紹介する.GPR40/FFAR1 をターゲットとした創薬研究を通じて我々が得た一連の結果は,この受容体が新規糖尿病治療薬の標的分子として有望であることを示唆している.
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© 2014 公益社団法人 日本薬理学会
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